現代の日本ではサービス残業の問題が非常に大きくなっており、実際には働いているにもかかわらずそれに見合った残業代が支給されないという状態が広がっています。その根底にあるのは勤怠管理と法令遵守への関心の薄さなのですが、しかしサービス残業ができてしまうような状態を放置するというのは企業にとって極めて大きなリスク要因であると認識することが必要です。ではどうしてサービス残業ができる状態を放置するのが問題になるのかと言うと、最も大きな理由となるのはサービス残業が違法行為であることです。残業を行った労働者に対して残業代を支給することは社会の暗黙の了解などではなく法律によって定められたルールです。
そのルールを破るのであればそれは当然違法行為であり、処罰されるべき状態となります。法律を破る企業に対して悪いイメージを抱く人はいても良いイメージを持つ人はいませんから、長く違法状態を放置していた企業はその期間が長いほど、強烈なしっぺ返しを食らうことになるでしょう。イメージ戦略に努力をしていたのであればそれがすべて水泡に帰すわけですから、放置して良いわけがありません。加えて勤怠管理を疎かにした場合、間違いなく優秀な人材から企業を去って行きます。
優秀な人材は引く手数多なものですし、皮肉ではありますがサービス残業が酷い劣悪な労働環境に耐えたという実績はその社員のタフネスの証明にもなりますから、別の企業にすぐに移ることができます。優秀な人材を失っても良いというのであれば話は別ですが、新卒採用・中途採用に苦心をしたことがあるのならば今すぐにでも勤怠管理を徹底する方向に舵を切るべきでしょう。もし現在、サービス残業の問題が顕在化していないのであればまだ状況は良いでしょうが、勤怠管理は常に見直し、最善の状態に保つことが必要です。少しの甘えで会社にダメージを与えないよう、しっかりとした管理を心がけましょう。