タイムカードを使った勤怠管理は分かりやすく仕組み的にも単純で安価であるものの、いくつかの欠点もあります。一つは、必ずしも従業員が仕事をしていた時間を反映するものではないということが挙げられるかもしれません。例えば打刻を忘れていれば当然正確な時間は把握できなくなりますし、夕方、とりあえず退社の時間を打刻だけしてまた自席に戻り、残業をしていては何のためのタイムカードか分かりません。これはいわゆるサービス残業につながるものとして非常に問題になるところです。
このような問題に関しては、システムの問題という面もありますが、それを利用する人間側の問題という面もあります。ここで言う利用する人間とは当該従業員だけとは限りません。システムを管理する人、従業員の上司あるいは会社の経営層も含めて、勤怠管理システムを適正に利用させるようにしているかということも含まれるのです。仮に紙の用紙による打刻を止めてICカードか何かと会社の入り口ドアの鍵とを連動させ、入館時と退館時の時刻を自動的に集約するようにしたところで、帰社後に自宅でサービス残業をしていてはやはり正確な勤務時間を把握したことにはなりません。
つまり、どんなに高度で先進的なシステムを導入しても、使う側の人間のモラルというか、適正な利用の仕方をしないと意味がない面は絶対に残るのです。高度で先進的なシステムを導入すればするほど、仕組みはブラックボックス化する傾向にありますから、ある意味では簡単な仕組みよりもよりしっかりしたモラルが求められるのです。その点ではタイムカードによる勤怠管理は単純で、決して悪いものではありません。